米軍式 人を動かすマネジメント

積読本を読んだのでその感想です。

私の興味があるデザイン思考やイノベーション、そして私の本業での事業開発等とフィットしやすい内容だと感じました。
D-OODAが要諦だと思いますが、はじめのDがあってこそ、その後のOODAということだと思います。
特に既存の取り組みとは別のことを進める際に、取り入れやすい方法だと感じます。

下記はPDCAがフィットしなくなっている事例として紹介しているのだと思います。もちろんこの本でもOODAとPDCAは両立するものと書いてありますが、既存や改善ではPDCA、革新や新規ではOODAという切り分けが必要なのだと実体験からも感じます。PMPの資格も持っているので、プロジェクトマネジメントの観点からしても「計画重視のPMBOK」もアジリティが求められる昨今、計画を立てる前段階を重視しようとしているのが近年のトレンドになっています。

どれだけ頑張って計画をつくったとしても、未来を支配することはできません。

事前に準備のできる変化と、突発的に発生する変化では対応方法がことなるはずということを指摘しているのだと思います。

私たちはそろそろ「変化の激しい環境」への対応を考えねばなりません。「変化の激しい環境」とはよく使う言葉ですが、そこには2つの意味が含まれます。ひとつは「想定できる変化」のスピードが速いこと。もうひとつが「想定できない変化」が起こること。

D-OODAが本書の要諦だと思いますが、オペレーショナル・デザインのプロセスを示しているのが興味深かったです。日本ではマイナーなS&OPの考え方が、アメリカでは標準的ということも影響しているのかと感じました。

①指揮官が指針を示す
②指揮官と幕僚が対話によって互いに理解し共有する
③目標・方法・資源・リスクを分析、検討する
④作戦の大筋を可視化する

本編後の解説も面白かったです。迅速、機敏に意思決定を行い、タイミングよく行動するのかに関する説明でした。

1つ目は、どのように世界を観るか、どのような枠組みを設定するかである。
2つ目は、ミッションの設定または認識である。
3つ目は、戦い方(warfare)の次元の認識である。
4つ目は、機動戦をより良く行うために、意思決定や行動等を迅速機敏に、タイミングとテンポ良く、リズムに乗って行うためのOODAループの採用である。
5つ目は、機動戦である。
6つ目は、OODAを早めるために必要な分権化された軍隊の運用である。
7つ目は、組織の治世のあり方、リーダーのあり方である。
8つ目は、知性の源である組織学習のための教訓習得手順(Lessons Learned Process)の確立である。

下記は軍隊ではなく、ビジネスでも全く同じだと感じました。

最後に、米海兵隊が考える機動戦下での効果的な指揮・統制を確立するために必要な項目を列挙する。
①システム(人、情報と支援機能の複合体)への挑戦
②委任戦術
③下級部隊の主導性
④指揮官の企図(指針)
⑤相互信頼
⑥暗黙の理解と意思疎通
⑦意思決定
⑧情報(知識)の管理
⑨リーダーシップ(統率)
⑩計画立案(問題の解決)

戦略や戦術といった軍隊用語から経営用語が多く用いられているので、その意味からもわかりやすい本でした。
以前、どこかで聞いた話を思い出しました。「経営学者は戦争用語を好んで使う。自分達は手を汚すことはないが・・・」といった旨の内容でしたが、今となっては良くわかる世代になってきたのだと感じます。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。