Harvard Business Review11月号をチラ見しました

Harvard Business Review2021年11月号は「戦略の思考法」がタイトルでした。公私ともになかなか本を読む時間が自由に取れなくなってきていますが、定期的に興味のあるモノには目を通さなければと反省しました。

さて、チラ見なので目次で気になった部分に目を通しました。興味を持ったのは以下でした。

多くの日本企業では中期経営計画(中計)を戦略と同義に近い位置付をしているケースが多く、中計をもって戦略と呼ぶ人もいる。
(中略)
中計はそもそも、多くの日本企業が金融機関向けに策定した計画の一つであり、1990年代になり徐々に資本市場からの資金調達にシフトした中で、中計は投資家が投資先の企業の将来性を判断する材料へと変容していった。

P51- 60「戦略」を企業価値の向上に直結させる法

事業部が作成した夢物語を、企業全体として取りまとめたものが中計という指摘だと思いました。確かにこれまで関わってきた企業の中計のスタイルはボトムアップで策定され、一旦取りまとめたうえで微調整という感じでした。

中計の策定前に企業の方向性が示されており、その方向性にもとづいて事業部の計画が立てられるというのは、当たり前のように感じていながら日本企業(特に大企業)においては難しいのだと考えます。
一方で、トップの描いた姿にもとづいて事業計画を立て、実行するという意味では中小企業の方が基本に忠実に実施されているように感じます。もちろん戦略や計画自体が明文化されていない企業も多くいらっしゃいます。

中小企業の資金調達は、金融機関からの借入が多くなるので、中計のような事業計画が融資申し込みに関連して必要になるのだと理解しました。補助金を申請する前に「経営革新計画」が求められているのも、同じ理由だと考えると理解しやすかったです。
しかしながら、これらは「計画」なので、経営戦略の下位に位置するものになります。

パーパスなのか、MVVなのか、その他なのかにもとづいて、企業のあるべき姿を描き、そこに到達するための方向性を示し、経営リソースを配分するのが経営戦略で、経営者が主体的に定めるものだと考えています。この経営戦略の下で実行「計画」を立て、計画を推進、必要に応じて微調整を行っていくということを支援していきたいと感じました。

さて、この文章はマッキンゼーの日本の方が書かれていましたが、数ページ後にはベインの方が「日本企業が変革力を高める3つの指針」という文章を書いていました。
両方に共通して『事業部が計画を立案し、ホチキス留めしただけのボトムアップ型の経営スタイル』という指摘をしていました。「ホチキス留め」は変化の激しい時代では、時間がかかりすぎて効力を発揮しないということだと思います。大企業ではおっしゃる通りだと感じます。中小企業ではそもそもボトムアップで計画を立てることは一般的ではないと思うので、トップをいかに支援するかがカギだと感じました。

話は変わりますが、ステープラーではなくホチキス、温水洗浄便座ではなくウォシュレットなど商品名が一般名称化するのが面白いと思いました。一般名称化するほど、世の中に商品が受け入れられると素敵ですね。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。