アイデア思考が好みの私に新しい視点をくれた本です。
アイデアを出すことに苦労を感じない私は、日本企業の方とイノベーション関連の打ち合わせに参加すると苦労します。
私はアイデアを出すことや、実行することに難しさを感じないからです。
ですが、実際にはあれこれ理由がついて、実行されないということに徒労感というか、なんというかを感じさせます。
この本は、そんな日本企業にお勤めでイノベーションが求められている方にこそ、向いている本だと感じました。
本書は「FORTH」メソッドを提案しています。
イノベーションの「使命」を抱えて冒険に出発し、いくつかの企画書を持ち帰るというストーリーを旅で表現しています。
- Full Stream Ahead 全速前進でスタート!
- Observe & Lean 観察と学び
- Raise Ideas アイデアを出す
- Test Ideas アイデアをテストする
- Homecoming 帰還
この本にはリストアップされた様々な表が提示されます。
共通点は数値で示すというところですが、上手くまとめているので参考になります。
- 探検に乗り出すべきでない21のシチュエーション
- イノベーションをふいにする6のパターン
- イノベーションがうまくいかない40の理由
- イノベーションが必要な10の理由
- イノベーションのスタートで起こる10の問題
- アイデア創出の5つのジレンマ
- 66項目のイノベーション・チェックリスト
- イノベーション・セッションのファシリテーターへ贈る30のアドバイス
- オープン・イノベーションの文化を支える10の要素
- イノベーティブなウェブ検索の7つのコツ
- 世界各国のトレンドサイト、トップ18
- ミスから生まれた輝かしい発明11選
- 完璧なブレーンストーミングの24のルール
- コンセプトテスト、5つの質問
- 新アイデアをプレゼンする30の方法
- 6項目の新ミニ・ビジネスケース
- アイデアの具現化ではまりがちな10の落とし穴
イノベーションは世の中に出なければ意味がないというのが本書のこだわりだと思います。
IDEOやd.schoolの系統、DoblinやIllinois Institute of Technologyの系統でデザイン思考を学ぶとアイデアは出せるけど、その次に進めないというのが課題になるのだと思います。
一方で、BMCやVPCでビジネスモデルを考えるとありきありな内容になりがちというのが課題になるのだと思います。
エスノグラフィ等から獲得したインサイトをCJMにまとめるけど、次につながらないというのも課題になりやすいポイントなのだと思います。
その点、この本は一通り、何から始めて、どうすれば一旦終わりにできるのかが地図で示されるので、できるようになる気がするところが素晴らしいと思います。
実際は、一般的なデザイン思考のスタイルよりも期間が長く設定されているので、何事にも時間がかかる日本企業にはピッタリだと思いました。