「行動観察」の基本

ぼちぼち読んでいた本を読み終えました。エスノグラフィーなどの行動観察に関する本なので興味を持っています。少々古い本ですが、今でもそのまま活用できる内容だと感じました。

多様性の時代になり、下記に書かれていた内容はその通りだと感じます。マーケティングに携わっている観点からしても、マスの時代でないことは肌で感じるところです。イノベーション創出においても、市場調査などの情報から得るものより、エッジの立った個人から得るものの方が大きくなっていると感じます。

「十人十色」という言葉があるが、行動観察のフィールドでさまざまな人に出会ってきたうえで強く感じているのは、「十人十色」より、もはや「一人十色」だな、ということである。「一人十色」、1人の人間であっても多様な側面を持っているということである。

P20 第1章 これまでの方法論に見え始めた限界とその背景

この本での行動観察の定義は下記で示されていました。

「ある課題に対して、観察者がさまざまなフィールドに入って対象者の行動や背景にある情報をつぶさに観察したうえで分析し、本質的なインサイトを導出したうえでソリューションを提案し、実行する方法論」

P76 第3章 「行動観察」とは何か

行動観察から得られるものは、インサイトだと考えています。しかしながら、本書ではさらに広範な内容が得られると整理されていました。確かにインサイトを得た後は、アイデア創出のフェーズに入るので、連続しているということを指摘しているのだと感じました。一方で、アイデアは頭の中に蓄積された様々な経験・情報をもとにして、個人の頭の中で醸成されるので、インサイトを得る=アイデア創出ではないと考えます。

行動観察から得られるのは、インサイト(価値提供にあたっての本質)、コンセプト+アイデア(価値の方法性と案)、価値の簡易的な検証(提供価値の手ごたえ)である。

P143 第4章 高齢者が本当に求めているもの

マーケティングの定義や領域が拡大しているのと同様に、行動観察も役割が拡大している点が指摘されていました。価値を創出するうえでは、行動観察から得るものは大きくなっていると感じているので、なるほどと思いながら読みました。

このように、行動観察の役割は、短い歴史のなかでも「事実を見つける」→「課題を探してくる」→「インサイトを出す」→「ソリューションを提供する」→「課題解決を実現する」と変化してきた。

P246 第8章 行動観察を実践するために知っておくべきこと

さまざまな執筆案件に追われている中で、読書の時間を取りにくくなっています。うまく時間調整をしながら読書を楽しみたいと思います。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。