ジョブ理論

診断実習も終わり、修士論文に集中しなければならない時期ですが、こういう時期だからこそ息抜きがしたくなります。そんな言い訳をしながら積読本を読んでみました。

内容は面白いのですが、ハードな感じの本なので考えながら読むことになりました。

1章のまとめが心に残りました。多分、本業でイノベーションに関わっており、上手くいっていないと思っているからだと思います。

破壊理論は、イノベーションに対する競争反応の理論であり、脅威にうまく対処したいマネジャーにとって重要な知見を与えてくれる。しかし、企業が成長を続けていくためにどんなふうにイノベーションを起こせばいいかという重要な問いには答えてくれない。具体的にどこに目をやれば新しい機会が見つかるか、あるいは顧客が買いたくなるようなプロダクト/サービスは具値的に何かを教えてくれるロードマップでもない。

親に見つからず連絡を取りたいジョブ等、わかりやすい例えだと感じながら読みました。

ジョブはつくり出すのではなく、見つけ出すものだ。ジョブそのものは長いあいだ変化しなくても、解決方法のほうは時が経つにつれて大幅に変化することがある。

マットレスの話の中で、インタビューのポイントが書かれてありました。量的なものよりも質的なものが重視されているのは、デザイン思考等でも同じことが言われているので、インサイトが得られるかがイノベーションのカギなのだと感じます。

今回のインタビューでもわかるように、標本数は少なくてもそこから大量のデータポイントを読み取るべきにもかかわらず、膨大な標本数を収集しておきながら、少ししかデータポイントを読み取らないことがある。イノベーションにとって重要な知見を得るには、広さよりも深さを追求すべきなのだ。

下記は既存企業にとって、わかっていても変えられないから、新規参入企業にあっさり抜かれてしまうのだと感じます。個人的には、法人も適宜入れ替わる意味がここにあると感じています。

プロダクトの改良そのものに注力する企業は、最も強力な因果関係のメカニズムが何であるかを見落としがちだ。「自社製品を購入するときだけでなく、使用するときに、顧客はどのような体験を求めているのか?」。この問いの答えがわからない企業は、おそらく雇用されない。

大学の時に意味が分からないまま読んでいた本が出てきて、また読んでみようと思いました。

H・トマス・ジョンソンとロバート・S・キャプランによる名著『レレバンス・ロスト』は、ひとつひとつの数字の裏には込みいったストーリーがあると述べている。

案外日本語版の解説も面白かったです。私の本業のひとつにデータサイエンス分野の仕事があります。いわゆるビッグデータ解析からのインサイトを得るということですが、正に相関関係と因果関係の違いを実感させられます。

そのようなことが起きるのは、顧客の「属性」と「欲しいもの」のあいだには相関こそあっても因果はないためである。別の言い方をすると、相関関係は因果関係にあらず。因果関係のないデータを分析して商品開発をおこなうのはまるで運を天に任せたやり方だと、クリステンセン氏は警鐘を鳴らす。

遅ればせながらの読書の冬を過ごそうと思います。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。