ニッポン経営名鑑

今回も積読本を読んでみました。お風呂の中でさくさく読むことができました。様々な企業が数ページずつ解説されており、読みやすく作られていました。この本で取り上げられている企業は、様々なメディアで取り上げられる企業が多く、振り返りの意味で、読んでよかったと思いました。

「でんかのヤマグチ」さんのことが載っていました。中小企業だからこそ安売りでなく、高売りをする点が素晴らしいと思います。安売り戦略がとれるのは、経営資源が豊富な大企業が得意とする戦略で、個性や付加価値で勝負する中小企業は価値をいかに高く売るかに知恵を絞る必要があると、常々考えているためです。

安売りでなく、”高売り”を標榜するヤマグチは粗利に目をつけました。しかも、単に粗利を定点観測するだけでなく、組織のあらゆる部分に粗利の思想を埋め込んだのです。

社長の山口勉さんは毎朝欠かさず商品別と担当者別、2つの観点から前日の粗利益をチェックします。商品別では、何が売れ筋でどれくらい粗利が取れているか、担当者別では、個々の営業担当者がその月の粗利目標をどの程度達成しているかを見ます。

P42 第1章 組織づくりの個性派企業集

下記は似たような話をどこかで聞き、私も気をつけている点です。変化させることができるのは、未来と自分自身だけだと考えています。変化させることのできない、過去と他人を変えようとすることは時間の無駄でしかないと考えています。
もちろん、コンサルタントとして変化を起こすための刺激は与えますが、根本的に変化するのは刺激を受けた方が、変わりたいと思った時だけだと体感しています。

絶対に人は人を使えない。
人は人を変化させられない。
例えばある人が別の人から感化されて、
その人がものすごく変わったとしよう。
それは、その人自体の意思で
変わったんであって、
催眠術のように
変えられたわけではない。
(NHK DVD『ザ・メッセージ 今 蘇る日本のDNA』より)

P66 第2章 組織マネジメントはどう進化したか

鳥貴族の理念をまとめた「鳥辞苑」というものがあるそうです。その中の行動指針で以下が示されているそうで、わかりやすく納得感のある指針だと感じました。私も起業する際に参考にしようと感じました。

人として善
「人として正しい考え方、生き方をしよう」
社会人として範
「社会人として模範となる行動をしよう」
商人として義
「商人として道徳、倫理にかなった仕事をしよう」

P102 私が考える「組織づくり」

日経トップリーダー(月刊誌)には、「人づくり大賞」という賞があるそうで興味を持ちました。変革マネジメントなどでコンサルする際にも、手順の設計として応用できそうだと感じました。
ただ、一番難しいのは人づくりの前提となる「経営者」のマインドが整っているかどうかだと感じながら読みました。

人づくりに優れた企業を分析すると、3つの傾向が浮かび上がります。
1つは、一律教育ではなく、個別教育を実践していること。
(中略)
人づくりに経営者の情熱は欠かせませんが、情熱だけで仕組みが整っていないケースがよくあります。(中略)人づくり企業は仕組み化がうまい。これが、2つ目の特徴です。
(中略)
人づくりに優れた企業の3つ目の傾向が「社内学校」です。

P174- 第4章 人を活かす3つのアプローチ

下記は、独自性や差異化した商品・サービスを獲得し、企業を成長・発展させていくうえで、頭に置いておくべきことだと感じました。
一発勝負なら安売りもよいかもしれませんが、一度安売りするとそれは継続されるので、納期は守ることが前提となることも多いので、結局品質を落として対応するしかなくなると私も体感しています。
発注者側の立場からしても、お客様に価値を届けることを考えた場合、単に安く仕入れることだけに価値があるのか、問い直す時期に来ているように感じます。私自身がコンサルタントという商品として企業に派遣されているので、安く安く一辺倒でくる発注者とは距離を取るか、疎遠になるようにしています。

お客様の本当の満足はむちゃな値下げ対応でなく、高い品質や納期を守ることによってこそ獲得できるのです。

P203 私が考える「人づくり」

欧米でいえば、「ビジョナリー・カンパニー1234弾み車の法則)」や、「エクセレント・カンパニー)」など、日本でいえば、「日本で一番大切にしたい会社1234567)」などがこれまでもお手本にすべき企業を取り上げてきていたと思います。
これらの本に取り上げられた企業の中には、すでに買収や廃業している企業もあり、それを揶揄する読み物にも出会いますが、そっくりそのまま真似してコピー企業をつくることを目指すのではなく、良い点を取り入れるための材料として読むことは、意味があることだと考えています。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。