カスケードダウン

積読本のなかからお風呂で読めそうな本を選んで読みました。

この本では一般的には、目的:戦略策定、手段:DX推進、人材育成、業務改革の下に社員が位置づけられていると指摘していました。カスケードダウンでは、目的:経営戦略、手段:DX推進、人材育成、業務改革の間に社員が位置づけられていると指摘してありました(P53)。

社員が自分で考えて、動いてもらうためには上記の位置づけが必要という指摘だと理解しました。一方で、雇われている社員が経営者の都合よい考えである「経営視点を持って」というのは、実現が難しいことだと実感しています。

経営者視点を持っていれば(持っているのであれば)、雇われているのは”損”と考え、独立して起業するのだと考えます。自分で考えたことを自分で実行できる、さらに自分で結果責任を負えるためです。雇われているのには理由があり、例えば大手企業に所属していれば、給与面で平均所得以上の収入が得られ、ローンを借りるにしても金利が優遇され、企業ブランドの傘の下で個人ではリーチできないお客さまと大きなビジネスができる、などのメリットを手放したくないためだと考えます。

そういった考えを持っている社員に、どうすれば動いてもらえるのかを考えて実行することが必要なのだと考えます。

重要なのは、改革の目的や意味、そして「変えること」や「変わること」によって、会社と社員はどうなっていくのか、方向性を社員に十分に伝えることです。その内容が「伝わる」まで議論を重ね、理解と納得を得ていくことが必要なのです。

P108 第4章 STEP1 変革の火をおこす

上記はコッター先生の8段階のプロセスの最初で指摘されている「危機意識を高める」という場面で、何のために変革するのかの解像度を高めるということだと理解しました。

下記は実際の現場でよく見かける光景です。口でミドル層に経営戦略を理解させる言うのは簡単ですが、情報量や知見、意欲の異なるトップマネジメントとミドルマネジメントの差は、とてつもなく大きな溝だと感じています。

この「上位層が経営戦略を説明する」理由ですが、本来、経営戦略は経営者が発信した後に、その下のミドル層が経営者に変わって部下に伝えていくものです。ところが肝心のミドル層がほとんど経営戦略を理解しておらず、部下に対しても説明ができていないのです。

P120 第5章 STEP2 経営戦略を理解する

昔オリックスの方がお話しされていたという記憶ですが、「良いな会社は、社長が火事だというと、その下の役員が消防に連絡だ、その下が初期消火とけが人の確認だ、その下が取引先に納期調整の連絡だ、・・・。」とブレークダウンされながら、火が消されていく。一方「ダメな会社は、社長が火事だというと、その下の役員も火事だといい、その下も火事だという。そのころには燃えカスだけが残る。」といったたとえ話を思い出しました。よく見かける場面は、まさにダメな会社のような指示伝達が行われています。

実は本を読んでいる場合ではないのですが、現実逃避をしてしまいました。うまく時間を作っていきたいと思います。

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