コトラーのマーケティング4.0-スマートフォン時代の究極法則

私の大切なパートナーがマーケティング関係の仕事に就くということで、私も改めてマーケティングの知識をブラッシュアップしてみようと思いました。
そこで積読していたコトラー先生の本を読みました。

本書はマーケターにはお馴染みの「カスタマージャーニー」で説明が多く行われているので、私には理解しやすい内容でした。
興味を持ったのは、下記のとおりです。

だが、さまざまな産業にまたがる最近の調査によると、マーケティング・コミュニケーションよりもFファクター(friends 友達、families 家族、Facebook fans フェイスブックのファン、Twitter followers ツイッターのフォロワー)が信頼されるという。

引用はしませんが、第3章は印象的でした。
若者、女性、ネティズンに着目すべきと指摘しているのはその通りだと感じます。
日本ではシルバーエコノミーだけがもてはやされている風潮があるので、良い指摘だと感じます。

4.0の定義が下記のように示されていました。
ざっくり交流手段として、日本でいうトリプルメディア、アメリカでいうPESOメディア的なものと受け取ればよいと感じました。

マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチである。

マーケターなら誰しもマッカーシーの4Pに対して、ラウターボーンの4Cを思い浮かべると思いますが、別の4Cでした。

マーケティング・ミックスの4Pは、4C(co-creation=共創、currency=通貨、communal activation=共同活性化、conversation=カンバセーション)に改められるべきだろう。

上記にあわせて、「図4-1.伝統的マーケティングとデジタル・マーケティングの役割の交代」は参考になりました。
また、「図5-1.接続された世界におけるカスタマー・ジャーニーの変化」も新旧の比較で参考になります。
更に、「図6-1.新しい生産性測定指標(PARとBAR)」はマーケティング効果を測定する上で、一つの解を出しているように思いました。

顧客の好奇心を活用するとして下記の例は面白かったです。

グーグルは、同社がゼロ・モーメント・オブ・トゥルース(ZMOT)と呼ぶ概念を導入した。これは顧客が追加情報を熱心に検索し、処理する購入前段階のことで、ファースト・モーメント・オブ・トゥルース(FMOT)(最初の決定的瞬間)、すなわちブランドとの最初のインタラクションの前に起こる。グーグルが行った調査によると、「オンラインで検索すること」と「友人や家族と話をすること」が、ZMOTの二大源泉である。

私も良く利用していますが、カスタマー・ジャーニーでモデル化することの重要性を下記では指摘していました。

市場の結果を理解するためには、カスタマー・ジャーニーという概念を使う必要がある。これは、顧客が製品またはサービスをまったく知らない状態からしっかり認知した状態へ、それから関心、購入、再購入へ、さらには推奨へという筋道を、どのように進んでいくかを示すものだ。

「図7-1.主な産業類型」は大変参考になりました。読めば納得ですが、さすが上手く分類するものだと感心しました。

下記のデジタル人類学に関する指摘は、私が興味を持っているエスノグラフィー等の文化人類学に端を発するものだと感じるので、面白かったです。

人間中心のマーケティングとの関連でいえば、デジタル人類学は、ブランドが対処すべき人間の潜在的な不安や欲求を明らかにする強力な方法を提供する。マーケターが現在使っている有名な手法には、ソーシャル・リスニング、ネトノグラフィー、共感的リサーチなどがある。

お風呂の中で色々なことを考えながら読み、楽しみました。
いずれまた目を通してみたいと思います。別のインサイトが得られる本だと感じました。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。