プラットフォーム革命

様々なプラットフォームを分類し、説明している本です。
網羅的に説明されていて、プラットフォームについて一通りの知識を身に着けるのによい本だと思います。

下記を読んで、一括りにしてプラットフォームを捉えることは危険だと感じました。本業でもプラットフォーム・ビジネスに関わっているので注意したいと思いました。

交換型プラットフォームかメーカー型プラットフォームかを分けるのは、意味論上の違いだけではない。すべてのプラットフォームは、消費者とプロデューサーを結びつけることに注力するが、交換型とメーカー型どちらのプラットフォームを選ぶかによって、そのプラットフォームがもたらす中核的な価値は根本から変わってくる。

経済学部出身なので面白い表現だと思いメモしました。

プラットフォームは伝統的な企業組織の特徴と市場の特徴を兼ね備えている。コースの企業論とハイエクの市場論を合成したものともいえる。

プラットフォームの四つのコア機能として示されていたものは参考になりました。

  1. オーディエンス構築・・・消費者とプロデューサーをクリティカルマス以上獲得して、流動的なマーケットプレースを構築する
  2. マッチメーキング・・・正しい消費者を正しいプロデューサーと結びつけて、取引と交流を円滑化する
  3. 中核的ツールとサービスの提供・・・取引費用を下げ、参入障壁を取り除き、データによって長期的にプラットフォームの価値を高めて、コア取引を支援するツールとサービスを構築する
  4. ルールと基準の設定・・・どのような行動が許され奨励されるか、どのような行動が禁止され思いとどまるよう促されるかを定めたガイドラインを作成する

下記で示されていたチャットルーレットの法則はその通りだと感じます。私が関わるプラットフォーム上のデータを見ていても、変化を感じることが多々あるためです。

十分な規模に達したネットワークは、放置しておくと自然にユーザーと使用法の質が低下する(たとえば裸の男がカメラの前に座っている状況になる)のだ。

ネットワーク効果のはしごとして説明されている部分も参考になりました。

あるプラットフォームにおけるネットワークの質は、コネクション、コミュニケーション、キュレーション、コラボレーション、コミュニティというはしごの五つの「ステップ(段階)」によって決まる。

個人的に最も面白かった点は、メトカーフの法則で示されたネットワーク効果の部分です。
IBMのTHINK JAPAN 2018で指数関数的な変化を示す方法として、ムーアの法則がトランジスターの集積度合いが18~24ヶ月で倍増すること、メトカーフの法則がネットワークの価値は接続されているユーザーの2乗に比例すること、そしてデータ(WATSON?)の法則としてデータ量が12~18ヶ月で倍増することが説明されていました。
この本ではネットワーク効果で説明されることに対する疑問を提示している部分が面白く、参考になりました。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。