台風が過ぎるのを待つ間、積読本を読みました。
この本を読みながら文化の違いを体感しました。恐らくですが、ローコンテクスト文化の英語圏では、ひとつひとつ説明しなければ通じないため、ハイコンテクスト文化の日本語圏に住む我々には回りくどさを感じます。
まず、P25,26の「OODAループの概念図」が目を引きました。シンプルに表現されている書籍が多い中、しっかりと表現しようとしている部分に着目しました。
下記は、軍隊で用いられてきた「ソフト」な効果をまとめたものでした。競争戦略やマーケティング戦略を立案する際にも、そのまま適用可能だと思いました。
また、敵側に仕掛けるという意味では、以前流行った「サボタージュマニュアル」にも似ていると感じました(公開されているPDFファイル「 Simple Sabotage Field Manual 」)。
図2-4 ソフトの決定的な効果
P74 第2章 目に見える数字だけでは最悪の結果を招く
●味方にあることが望ましいもの
・使命感 ・士気 ・リーダーシップ ・調和 ・チームワーク
↓
●それらが可能にすること
・曖昧に見える ・惑わす ・驚愕とパニックを生み出す ・主導権を取り続ける ・機会を創出し、利用する
↓
●それらが敵側で引き起こすこと
・言い争い ・罪を被せる ・混乱 ・パニック ・総崩れ ・大量離脱と投降
この本で最も学ぶべき点は下記の部分だと感じました。
うまくいっている状態、普通の状態では、OOAのループが自動的に回る。
一方で、OOAループが回せない場合にOODAループを使う。
あくまでもフレームワークなので、時系列で運用するのではないという部分には注意が必要だと感じます。
OODAループに関する誤解で最も顕著なのが、この暗黙的コミュニケーションに関する部分であろう。OODAループの通常のステップ、O→O→D→Aは、例外的なものにすぎない。理想的には、暗黙的コミュニケーションによって観察(O)→情勢判断(O)→行動(A)のループを瞬時に回すことであり、それが可能な理由は、あらゆる情勢を明示化しない点にある。
P124 第3章 OODAループ-勝つべくして勝つための最強ツール
俊敏性は今のビジネス環境では重要な観点だと感じます。3Cの視点から考えても、顧客の視点と競合の視点から考えるときに役立つと感じます。
したがって、ビジネスの世界では、アジリティは2つの目的を持っている点に目を向けなければならない。1つは競争相手の体制を崩すこと、そしてもう1つは、自社と顧客の両者が製品やサービスについて新しい捉え方ができるように導いていくことが。これが、「市場を形成する」ということの意味になる。
P151 第4章 OODAループはビジネスに何をもたらすのか
信頼はトップから始めるというのは、企業規模を問わずビジネスの基本だと、改めて感じました。また、組織の凝集性を高め、ゴールに向かう力を増すことが重要だという指摘もその通りだと感じます。
このことからわかるように、相互信頼は最終的には人の行動で決まる。ボーグルが述べているように、信頼は組織のトップから始めなければならず、各階層のリーダーは相互信頼こそが重要な企業価値であることを、行動を通して明確化する。すなわち、相互信頼する者を称賛し、そうでない者を称賛し、そうでない者は、いかに優れた成果を出していたとしても排除するのだ。
P180 第5章 OODAループを高速で回すための組織文化
計画を立てて終わりではなく、常に見直すということが求められているのだと感じます。環境変化の激しい現代では、固定的な計画だけを守るやり方が通用しなくなっているのだと感じます。
正と奇の概念を活用し、これらすべてを望ましい形に形成しようと試み、その過程で自社も形成されていく。しかし、この形成プロセスを確実に計画することはできない。ボイドが指摘したように、計画とは意図にすぎず、戦略は計画を策定し、管理するためのスキームにすぎない。
P282 第7章 OODAループで実際に何をするべきか
私はOODAループを知ったときから、PDCAサイクルと共存するものと考えてきましたが、同書ではどちらかというと捉え方の違いと見ていると感じます。といっても上位層はPDCA、現場層はOODAと見ている部分もあるので、その意味では共存していると見ているようにも感じます。
PDCAサイクルがどちらかといえば演繹的アプローチであるとすれば、OODAループは帰納的ないしは仮設形成的なアプローチになる。帰納ないしは仮設形成では、まずは事実の観察(Observe)が出発点になる。そこから何らかの判断をし(Orient)、決断し(Decide)、行動に移す(Act)。PDCAサイクルは計画(Plan)が重視されるのに対し、OODAループでは特にビッグOと呼ばれる情勢判断(Orient)が鍵となる。
P321 訳者解説 いま、なぜOODAループなのか
表1 PDCAサイクルとOODAループの体系的な比較
PDCAサイクル OODAループ 不確実性 低い 高い 命令のタイプ タスク型命令 ミッション型命令 タスク 反復的 創発的 対応の重点 事前対応 事後対応 データ 予測データ 事実データ 専門性・特殊性の要求 低 高 行動に関する判断 上位判断 現場判断
読みづらさのある本なので時間がかかりましたが、時間があったので読み終わりました。
ITコーディネータ協会のSPDLIサイクル(経営)、PDCAサイクル(管理)、PDSサイクル(業務)との関係から考えても面白いと感じながら読んでいました。
