合間を見て読み進めました。この本は、マーケティング入門系の本などを読んだ後に読むとよいと思います。
R-STP-MM(4Ps)のフレームに従い説明しながら、その合間合間で新しい事例や研究ベースの内容なども紹介されています。詳しく知らなかった内容も出典が示されているので、後追いできる点もよい部分だと感じました。
書籍であまり説明しているものを見た記憶がありませんが、この本では下記のように紹介されていました。
なお、価格差別化と製品差別化は日本語ではいずれも「差別化」と表現されていますが、英語ではdiscriminationとdifferentiationという違う語がつかわれていることに注意しておきましょう。
P145 6-2 「一物一価の法則」を超える
私の理解でいうと、比較優位や競争優位を示す差別化と、他と競争の軸を変え違いをつくる差異化の違いということだと考えます。差別化は他社が真似や追随しやすく最終的に価格競争に陥るのに対して、差異化は競争のフィールドが異なるため他と争わなくてよく価格競争に巻き込まれにくいという風に理解しています。
下記のプロモーション(プロモーションメディア)に関する指摘は、興味を持ちました。ソースは毎年電通が公表している「日本の広告費」で、プロモーションメディアには折込広告、DM、フリーペーパー、屋外広告、交通広告、POP広告などの伝統的な広告媒体全般が含まれています。
もう1つ注目すべきことは、プロモーション・メディアへの支出がテレビ広告やインターネット広告に負けない規模にあることです。
P165 7-1 広告の効果は長く謎であった
プロモーションメディアは、さまざまな媒体の合計値なので比較対象とするのはおかしいかもしれませんが、認知を獲得することや認知的不協和を低減することには役に立っている可能性があるということだと考えます。
また、広告と関連の深い、セールスプロモーションについて下記の記載が興味を引きました。
広告が記憶をつくり出す一方、SPは刺激を与えます。刺激には、店頭で注意を惹きつけるという面と、顧客が「得だ」だと感じる誘因(インセンティブ)を与えるという2つの側面があります。
P236 9-1 チャネルとSPが最後の決め手になる
日本では、店までの距離が近いため非計画購買が多いとされています。広告で認知や単純接触効果で好感度を高めておき、SPで非計画購買を誘うというパターンで効果があるということだと考えます。これはリアル店舗だけの話ではなく、オンライン店舗であっても同様だと考えます。このパターンが特に有効なのは、最寄品・日用品・嗜好品、買回品あたりのモノに関してだと考えます。
改定前のものを読んでいないのでわかりませんが、日本企業での事例や目新しい事例などが紹介されていること、入門書には書いていないことが書かれていることなどが面白いと思った本でした。