小が大を超えるマーケティングの法則

本を購入してから指摘されましたが、診断士試験ではおなじみの「スモールビジネス・マーケティング」の著者が書いた本だそうです。

プロダクトアウトとマーケットイン、モノ売りとコト売り、などの例でもあげられるように、起点が全く異なるため、目指すゴールも異なるということを指す言葉だと理解しています。

「つくったものをいかに売るか」が販売であり、「買いたくなる商品をいかに提供するか」がマーケティングだ。換言すると、販売活動のスタートポイントは「商品」だが、マーケティング活動は、「顧客」がスタートポイントになる。

P27 第1章 マーケティング的発想とは何か

「図表2-15 「小規模力」の例」として示されているものは、現在でも変わらず大手企業との差異を際立たせるものだと感じます。直近のコロナ禍においても、著者の言う「小規模力」が際立っている企業は、影響を受けながらも持ちこたえていると感じます。また、さらに「小規模力」が突き抜けている企業は、他社が休んでいる間も継続しているため、成長しているところもあると感じます。

個性の出し方として具体的な数値を挙げて説明している点は、素晴らしいと感じました。突き抜けたデザイナーのように何もかも個性的というスタイルをとる必要はなく、2割が違えば個性になると指摘しているのは、実践的だと感じました。

たとえば、「高級スーパー」といわれるスーパーマーケットをみても、取扱商品の8割程度は普通のスーパーとあまり変わらない。しかしながら、ワイン、チーズ、調味料の品揃えなど、明らかに2割ほどが普通のスーパーとは異なっているのである。

P124-125 第4章 「ほんものの力(A)」を高める

「図表4-25 「値引き」と「おまけ」の比較」もすばらしい指摘だと感じます。値引きで顧客の値ごろ感を下げるのは、自ら首を絞める行為だと私も感じます。高売りもしくは、どうやって安く売らずにすませるかを考えるのが、小さな会社の経営だと感じます。また、おまけのほうが返報性の法則が働くとの指摘もその通りだと感じます。

戦略、戦術が整合しており、明確な目標に向かって行動しても、経営者の意識が前向きでないと成果が出ないと下記では指摘しています。式は掛け算だけに、どこかが0だと成果なし、マイナスがあると悪影響が出るということを示しています。
小さな会社は、経営者のマインドが良くも悪くも会社全体の結果を左右するので、まずは経営者がしっかりと意識を変革するということが求められると感じます。

ところで、本書で提案したマーケティングには、大きな「前提」がある。それは、経営者の「意識」(やる気)の問題である。
マーケティング成果=意識(やる気)×行動(やり方)×継続
右の式から示唆されるように、前向きな「意識」がなければ、「マーケティング成果」を得ることはできない。「やる気」をもって、小規模を「チカラ」に変えるマーケティングを実践し、それを継続する。

P228-229 第7章 小規模を「チカラ」に変えるために

さくさく読める本でした。B2Cのマーケティング本ですが、中小企業を支援する立場のものとして知っておいて損はない知識だと感じます。
また、大企業であっても特定部門や事業は中小企業のようなものなので、同様に役立つ部分があると感じます。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。