エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」

積読本のなかから「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」を読みました。

大学院に通っているときに知ったエフェクチュエーションは、とっつきにくい学者さんの書いた本でしたが、この本はやさしく、わかりやすく、また日本の事例を使って説明されていることから、とっつきやすくなっていました。

発音しにくさのある「エフェクチュエーション」は、『熟達した起業家に対する意思決定実験から発見された、高い不確実性に対して予測ではなくコントロールによって対処する思考様式(P20)』と説明されています。

対となる言葉としてコーゼーションが出てきます。コーゼーションは、目的に対して最適な手段を追求するのに対して、エフェクチュエーションは、高い不確実性に対して何かを活用することのできる効果に着目しているという違いがあります。

高度成長期のようにわかりやすいゴールが掲げられた時代には、コーゼーションによるアプローチが最適だったのだと思います。過去の延長線上で事業を続けることが難しくなってきている現在は、わかりやすいゴールを掲げる前に問いを立てなければいけない時代だと考えます。進めながら考え、周りを巻き込むスタイルの方がうまくいくこともあるということだと理解しています。

学者の書いたエフェクチュエーションでは、まとまった表記ではなく、本文のなかにキーワードが紛れていた記憶です。一方この本「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」では、5つの原則としてまとめられていました。

エフェクチュエーション5つの原則
・手中の鳥(Bird in Hand)の原則
・許容可能な損失(Affordable Loss)の原則
・レモネード(Lemonade)の原則
・クレイジーキルト(Crazy Quilt)の原則
・飛行機のパイロット(Pilot in the Plane)の原則

P30 第1章 エフェクチュエーションとは何か

ビジネスなので目的を定めて進めていくことが王道だと考えています。一方で、起業や新規事業、イノベーション創出という文脈では、「何ができるか」「誰だったらできるか」、「何が活用できるか」、「許容できる損(撤退戦略のライン)はどこか」などの手段を活かしながら進めていくことも必要なのだと思います。

面白い指摘だと感じたのは『もう1つは、エフェクチュエーションの<クレイジーキルト>を行うパートナーが、「エフェクチュエーター」かどうかです。(P209)』の部分です。コンサルティングの場面でも相性ということを感じることがありますが、同じ思考パターンの人の方がうまく進めやすいということだと理解しました。

相性が悪い、合わないことがダメだとは思っていません。建設的な批判からより良いものが生まれてくると考えています。

ただ相性という部分でとらえると、アイデア発想の場面でいうと、感覚重視の方とデータ重視の方では思考パターンが違うので相性の悪さを感じることがあります。ITの世界でいうとウォーターフォールの進め方とアジャイルの進め方は、相性の悪さを感じることがあります。どちらが間違っているということはなく、使い分けであったり、組み合わせの問題だと考えています。

時間も経ち、多少理解度も上がったと思うので、原著だと思う本家の「エフェクチュエーション」をもう一度読んでみようと思います。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。

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