マッキンゼー 新規事業成功の原則

マッキンゼー 新規事業成功の原則」をお風呂の中で読みました。ビジネスに関連した本を読むことが多いのですが、積読本のなかから軽く読めそうな感じということで手に取りました。

興味を持った図表が初めの方にありました。「図表1-1」です。S&P500企業とTOPIX500に採用され続けて、なおかつ、収益の成長率がGDPを上回った企業の数について示したものでした。
株価指数として採用される大企業であっても、国の成長率やインフレ率を超過する収益の成長率が持続できなければ、存続していくことは難しいということだと理解しました。

個人的な興味としては、事業で関わっていることもあり第2章の「価値観・規制の変化 サステナビリティの波と事業機会」と「事業モデルの変化 リカーリング型ビジネスのあり方」が面白かったです。そうだなと思うところもあれば、そういう見方もあるのかという気づきもありました。

第3章のなかで「日本でユニコーンが生まれない理由」として示されていた課題は、若干的外れの部分もあるように感じます。ユニコーンほどの成長率や期待値を担う企業となるとスタートアップがイメージされますが、この本では大企業で新規事業を生み出すことがテーマになっています。

例えば、すでに大企業であったソニーがPlayStationでゲーム市場を切り拓いたという事実をもってしても、ソニーにとって新規事業が成功したと言えたとしても、ソニーがユニコーン企業になったとは言えないと考えます。

その観点からいうと、「課題1 初期の段階で、十分な資金投入をしない」はおかしいと感じます。市場が不明確で収益化できるかあいまいな段階で、十分な資金投入しないことは当たり前です。特に資金余力の限られているスタートアップの場合は、GTMの前にMVPで市場が存在するのかの確認が最優先になります。

残りの課題2から5に関しては、大企業に限らず既存企業での新規事業を立ち上げていく際にはぶつかる、あるあるの壁だと考えます。実際私自身も新規事業に関わるなかで何度もぶつかっている壁について示されていました。

終りの方に掲載されているアリさんと野中さんの対談は面白かったです。既存事業の目的は継続したキャッシュの創出、新規事業の目的は将来の企業を存続させることと示されていた点が印象的でした。事業の目的が異なるのだから、経営者は目的に応じた動きを取らないといけないという理解をしました。

読み物として楽しめました。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。

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