ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略

日頃の慌ただしさの中でも本を読む習慣は続いています。やはり、習慣化すると何も考えずとも継続できるのでいいですね。
さて、今回はサービスについて考えたいことがあったので読んでみました。

本書は、「企業は「最高のサービス」ではなく「儲かるサービス」を目指すべきだ。」としていて、ビジネスデザインの中で注力部分と手を抜く部分のメリハリをつけることを勧めています。私自身も全てのことに満点を狙う人を見ると、上手くいかなくなるだろうなと感じるので、その点でも同意できる主張です。

大きな成功を収めるためには、サービスの質を落とすことを避けては通れない。それを拒めば、月並みなビジネスしか築けずに終わる。

日本企業はというよりは、何も考えていないマネジメント層といった方が正しいかもしれませんが、全ての領域で満点を目指そうとする人が多いように感じます。この主張はSWOT分析等を行った際に、やたらと「弱み」を補おうという戦略的方向性を打ち出す方に多いように感じます。

並はずれたサービスを提供したければ、いくつかの側面で意図的にサービスの質を落とす必要がある。顧客が最も重んじる要素で質の高いサービスをおこなうために――つまり、それで採算をとり、そのサービスを継続するために――顧客が最も軽んじている要素であえて低いレベルのサービスをおこなうのだ。

要はメリハリをつけなければ、「並外れたサービス」を提供しえないということだと感じます。

人材選考で本当に重要なのは、どういうタイプの人材が欲しいのかをはっきりさせ、そういう人材を安定的に獲得する仕組みをつくることだ。

上記はサウスウエスト航空の採用についてのコメントになっていますが、企業は人なりだと思うので企業に合った方を厳選することが欠かせないと感じました。

卓越したサービスビジネスを確立するためには、サービスモデルの「設計」と、それに命を吹き込む「文化」の両方が欠かせない。

上記は正にその通りだと思います。モデルが正しくとも、運営する人が正しく動けなければ卓越したサービスにならないということだと思います。

顧客をないがしろにせよ、と言っているのではない。重要なのは、顧客の声に耳を傾け、カスタマイゼーションをおこなうべきかどうかを戦略的に判断することだ。本当の価値を生み出し、それにふさわしい料金を受け取ることができて、しかも事業運営に過大な負担をかけないのであれば、カスタマイゼーションをおこなえばいい。しかし、多くの従業員、株主、そして大多数の顧客を犠牲にしてまで、一握りの顧客だけを満足させるようなサービスを提供すべきではない。

これは日本企業にとっては、耳の痛い話だと思います。とかくクレーマーや声の大きな人に対して特別な対応を取ることが多いと感じます。この特別な対応を行うことが、コストやストレスの大きな部分を占めているということに気づく必要があるように思います。
マーケターとしては、このような「特別な対応」を求める人に対しては、丁重にお断りした上で別の会社を紹介してあげることが最適な戦術になると感じています。

平易な言葉使いで書かれており読みやすい本でした。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。