サービス・ドミナント・ロジックの発想と応用

ようやく読み終えた本です。
概ねの内容は知っていたのですが、しっかり読んでみたいと思い時間をかけて読みました。
Amazonを見てみると異常に値段が高くなっています。恐らくこの版が絶版になり、次の版になるということだと思います。高値掴みしないようにしないといけませんね。

広い意味のマーケティング戦略としてとらえるとよいと考えています。
この本では基本的前提から導いた4つの公理として、下記が挙げられています。

公理1.サービスが交換の基本的基盤である
公理2.顧客は常に価値の共創者である
公理3.すべての経済的および社会的アクターが資源統合者である
公理4.価値は常に受益者によって独自にかつ現象学的に判断される

P18 第1章 サービス・ドミナント・マインドセット

学者さんの詳細な定義なので、私には用語が難しく感じたりします。例えば、「オペランド」と「オペラント」など恐らく英語圏の方には意味の取り違いがない用語も、日本語として表現されると、意味がとりにくくなります。

マーケティング・ミックスとして有名な4Pと、4Cの関係のように、G-DロジックとS-Dロジックを比較している部分が多いように感じました。
この辺りはS-Dロジックが上位概念にあって、その下位でG-Dロジックがあると理解しているのですが、比較されると同じ層にいるような感じがして、理解しずらかったです。

イノベーションについて書いてある部分は、面白いと感じました。最近もいくつかの特許を支援先企業で出しましたが、発明とイノベーションは違うものだと再認識したことを思い出しました。

多くの場合、このイノベーションは、既存のエコシステム内のより上位のレベルの構造に疑念を投げかけることによって、それら既存のエコシステムを変換させ、それがメインストリームになっていく。いくつかの既存のエコシステムの変換は、より上位のレベルの構造の変更によって促進される。

P214 第9章 戦略的思考

この意味において、イノベーションとは、単なる発明ではなく、デザイン、ビジョン、起業家としてのタスクと多くつながるものであり、エンジニアリングのタスク以上のものである。したがって、S-Dロジックにおいて、マーケティングは製造よりも上位に位置づけられ、イノベーションは発明よりも上に位置づけられるようになる。

P247 第10章 結論と考察

直接コンサルティングやマーケティングに利用するというよりは、発想方法として考え方を頭に思い描いておくのが、よい使い方だと感じました。個人的にはサービス・マーケティングの上位概念として、今のところ理解しています。

投稿者: admin

ITエンジニアでキャリアをはじめ、SEやプロマネとして働いた後にマーケターとして新規事業開発などで働いていました。現在は経営戦略室で勤務しつつ、経営コンサルタントとしても活動しています。 詳細な自己紹介はこちらへ。